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違法建築物に対する措置の内容について解説します

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中古物件を購入することで、知らず知らずのうちに“違法建築物”を所有してしまうケースがあります。
また、違法建築物を所有していると、あらゆる措置が取られるため、今後中古物件を購入する方や、リフォームを検討している方は注意しなければいけません。
ここからは、措置の具体的な内容について解説します。

違法建築物の概要

建築基準法やこれに基づく法令、条例に違反して建築された建築物を“違法建築物”といいます。
“違反建築物”とも呼ばれます。
建物を建築する際は、必ず建築確認を取得しなければいけません。
これは、建築基準法に基づき、着工前に建築基準関係の規定に適合しているかを審査する、行政確認のことを指しています。
ただ、建築確認取得後、増改築などによって容積率がオーバーしたり、斜線制限に抵触したりすると、その物件は違法建築物になってしまいます。
冒頭で触れたように、中古物件の中には、全所有者が行った増改築などにより、購入時点で違法建築物となっているものも含まれます。
ちなみに、違法建築物であっても売買することは可能ですが、その際は行政の措置を受ける場合もあり、建て替え時に同等の建物を建築することはできません。
また、再建築ができない違法建築物には、売買の際、不動産広告に“再建築不可”と表示することが義務付けられています。

違法建築物に対する措置は誰が行う?

違法建築物に対する措置は、“特定行政庁”あるいは“建築監視員”が行います。
特定行政庁とは、建築主事を置く地方公共団体あるいはその長のことで、人口25万人以上の市は、建築主事を設置することが義務付けられています。
また、建築監視員とは、違反建築物に対する措置を迅速に行うために、特定行政庁が任命する職員を指します。

違反建築物の措置は誰が受ける?

違反建築物の措置を受けるのは、以下のいずれかの人物です。

・建築主(施主)
・工事の請負人(下請負人含む)
・工事の現場管理者
・敷地・建築物の所有者、占有者、管理者

違反建築物の措置の内容は?

上記の人物は、特定行政庁から以下の措置を受けることになります。

・工事の施工停止
・建築物の除去、移転、増改築、修繕、模様替え、使用禁止、使用制限など

先ほども触れた建築監視員は、緊急の場合の仮使用禁止、仮使用制限の命令と、違反が明らかでなおかつ緊急の場合の工事施工停止命令のみを下すことができます。

措置が取られる際の流れは?

上記の措置が取られる場合、まずは建築主などに通知が届きます。
そこから3日経過するまでに、公開の聴聞の要求がある場合はそれが実施されますが、特に対応せず、命令にも従わない場合は、措置が実行されます。
また、建築監視員が行う緊急性の高い命令に関しては、上記の手続きを省略して行われることがあります。

措置が取られた後の流れは?

実際、特定行政庁や建築監視員によって、違法建築物に対する措置が取られた後は、特定行政庁から国土交通大臣、あるいは都道府県知事に対し、当該建物の設計者や工事管理者、請負人、宅建業者の氏名・住所が通知されます。
ちなみに、この通知をされた各業者は、営業停止や免許取消といった重い行政処分を受けることもあります。

不服申し立てについて

特定行政庁や建築監視員の処分に納得いかない建築主、工事管理者などは、これに対して不服を申し立てることができます。
これは、“審査請求”と呼ばれるものであり、実行されると、建築審査会は当事者双方の主張を管理し、その審査請求に対する裁決を行います。
処分が違法であると判断された場合は、裁決により当該処分が取り消されることになります。

違法建築物を所有しないためのポイント

購入した中古物件が偶然違法建築物だったという状況には、十分遭遇する可能性があります。
ただ、現在の新築マンションや建売住宅の中には、違法建築物がほとんどありません。
これは、2002年頃から、国や自治体による違反建築物の取り締まりが強化されたことや、2003年、国土交通省から金融機関に対し、検査済証のない建物への住宅ローン融資を控えるよう要請があったことなどが理由です。
しかし、これより前に建築されたものに関しては、違法建築物が紛れ込んでいる可能性もあるため、築年数が古い物件を購入する際は注意しましょう。
ちなみに、違反建築物あるいは既存不適格建築物の事実があれば、売買契約を交わす前に行われる重要事項説明において、その内容が不動産会社から説明されるため、仲介取引であれば、知らない間に購入してしまう可能性も低いです。
注意したいのは、不動産会社が間に入らない個人間売買を行う場合です。

まとめ

ここまで、違法建築物に対する措置の内容を中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
一度違法建築物を取得すると、前述のような措置を受ける可能性がある上に、売買にも苦戦しやすくなります。
もちろん、手を加えて違法な物件ではない状態にすることはできますが、それも工事の内容によっては、莫大な費用がかかるおそれがあるため、注意してください。
再建築不可物件や市街化調整区域についてのご相談は、日翔レジデンシャル株式会社にご相談下さい。
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