相続した市街化調整区域の物件における処理について
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被相続人から不動産を受け継いだ方の中には、市街化調整区域の物件を相続したという方もいるでしょう。
では、そのような物件は、活用したり売却したりすることができるのでしょうか?
ここからは、相続した市街化調整区域の物件の処理について、詳しく解説したいと思います。
市街化調整区域の物件は相続するべき?
相続した市街化調整区域の物件の処理について考える前に、そもそも市街化調整区域の物件は相続すべきなのかについて考えてみましょう。
市街化調整区域では、市街化区域のように、原則自治体の開発許可なしでの建て替え、増改築、リノベーションなどをすることができません。
したがって、後々使用するつもりがないのであれば、相続せずに放棄した方が楽な気もしますよね。
ただ、市街化調整区域の物件は、固定資産税があまり高くないため、とりあえず相続して所有することをおすすめします。
なぜなら、市街化調整区域は、許可なしでの建て替え等ができないという風に解説しましたが、まったく使えない土地ではないからです。
例えば、家庭菜園に小分割して賃貸するなどすれば、公共の開発地になる可能性もありますし、時間が経過すれば市街化区域に見直される場合もあります。
つまり、相続を放棄するくらいなら、リーズナブルな固定資産税を支払いながらも所有しておき、今後使い勝手が良くなったり、売却しやすくなったりするタイミングを待つ方が良いというわけですね。
ちなみに、市街化調整区域の物件の相続を放棄する場合、土地以外の財産(預貯金など)もすべて放棄することになります。
市街化調整区域の物件も、決して無価値ではありませんし、今後の処理が面倒だからという理由で、預貯金等まで放棄してしまうというのはもったいないでしょう。
相続した市街化調整区域の土地で建て替えはできる?
何度も言うように、市街化調整区域では、原則開発許可なしでの建て替え等ができません。
ただ、市街化調整区域に指定される前に建てられた建物であれば、ある程度規制は緩和されます。
したがって、相続した市街化調整区域の土地でも、建て替えはできるということです。
特に、相続した土地には、古くから先代によって使用されているものも多いため、建て替えができる可能性は非常に高いですね。
また、各自治体によって細かい違いはあるものの、以下の条件をクリアしている市街化調整区域の土地所有者であれば、建て替えができる可能性は十分にあります。
①市街化調整区域に指定された後、20年以上居住している
②世帯を独立する(結婚など)
③市街化区域に土地を所有していない
もし、相続した市街化調整区域の土地で建て替えをしたいのであれば、上記の規制や条件について、管轄の自治体に相談してみましょう。
相続した市街化調整区域は売れるのか?
利用する予定がない方は、相続した市街化調整区域の土地を売却することも検討するでしょう。
また、複数の相続人がいる場合、現金に換えた方が分割はしやすくなるため、争族対策として売却を考える方も少なからず存在します。
しかし、市街化調整区域の物件は、決して使い勝手の良いものではなく、売却時にターゲットの幅が狭くなってしまうことは否めません。
ただ、ターゲットをしっかり考慮すれば、売却できる可能性は十分にあります。
例えば、高齢者施設を経営する法人などは、相続した市街化調整区域の物件でも買い取ってくれるでしょう。
なぜなら、高齢者施設であれば、たとえ市街化調整区域内であっても問題なく建築できるからです。
そして、すでに高齢者施設等が建っている市街化調整区域内では、コンビニ等商店の経営をする方に対しても、相続した市街化調整区域の物件は売れる可能性があります。
市街化調整区域には、そのエリアの日常生活のために必要な小規模商店等の建築も認められるというルールがあるからです。
もちろん、買い手探しは決して楽ではありませんが、売却の望みを捨てる必要はまったくありません。
売却までの間だけ土地活用をするのもアリ
前述の通り、相続した市街化調整区域の物件を売却する場合は、なかなかすぐに買い手が見つかりません。
また、その間は少額ながらも固定資産税がかかり続けます。
ただ、売却できるまでの間だけでも土地活用をしていれば、固定資産税等の維持費は削減できますし、なんならプラスの利益を得られる可能性もあります。
例えば、最初から高齢者施設の経営者にターゲットを絞っているのであれば、土地を1度更地にし、建物を建てずに行える駐車場経営などを行うのもアリですね。
その場合は、いつでも売却できるように、簡単な区画をする程度に留めておきましょう。
まとめ
ここまで、相続した市街化調整区域の物件における処理について解説してきました。
たとえ相続した市街化調整区域の物件であっても、建て替えや売却ができる可能性は十分にあります。
また、「処理が面倒臭そう」という理由だけで相続を放棄してしまうと、得られるはずの利益を逃してしまう可能性もあるため、安易に判断するのは危険だといえます。
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