不要な市街化調整区域の土地を処分する方法とは?
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市街化調整区域の土地を所有している方、あるいはこれから相続する方の中には、その土地を不要だと感じている方もいるかもしれませんね。
その場合、放置しておくわけにはいきませんので、何らかの形で処分することを考えましょう。
ここからは、不要な市街化調整区域における4つの処分方法について解説します。
①相続放棄
これから市街化調整区域の土地を相続する予定の方は、すでに不要になることがわかっている場合、“相続放棄”を検討しましょう。
これは、名前の通り、被相続人の財産について、相続の権利を放棄することをいいます。
つまり、市街化調整区域の土地が自分のものになり、処分に困ってしまう前に、“受け取らない”という形で処分するという方法ですね。
相続放棄をする場合、土地以外の財産(預貯金等)もすべて受け取れないことになってしまいますが、土地相続の権利を放棄すれば、当然今後処分に困ることはありませんし、固定資産税等のランニングコストを負担する必要もありません。
ただ、相続放棄は、相続を知ってから3ヶ月以内に手続きし、申請しなければいけません。
したがって、準備が遅れてしまうと、最終的に意図せず不要な市街化調整区域の土地を相続してしまうことになるため、注意しましょう。
相続放棄の手続きは弁護士に依頼することが可能なため、不安な方は早めに優秀な弁護士を探しておくべきです。
ちなみに、相続放棄によって、市街化調整区域の土地を処分できたとしても、その土地の“管理義務”は残ります。
これは、相続放棄によって新たに相続人となった別の方が、相続財産の管理を始められるまで継続する義務のため、覚えておきましょう。
②寄付
不要な市街化調整区域の土地をすでに所有している方は、“寄付”という形で処分することも考えてみましょう。
つまり、誰かに無償で土地を渡し、自身の所有権をなくすという方法ですね。
また、一口に土地の寄付といっても、その相手はさまざまです。
主な寄付先として挙げられるのは、自治体、個人、法人の3つですね。
自治体に寄付する場合、担当窓口で相談した後に土地調査と審査が行われ、そこでOKが出れば受け取ってもらえます。
ただ、自治体は使用目的がない土地を積極的に引き取ってくれるわけではありません。
法人に関しても、わざわざ市街化調整区域の土地の寄付に応じてくれるところはなかなかないでしょう。
そのため、もっともおすすめなのは、個人への寄付ということになります。
特に、隣地の持ち主への寄付はおすすめですね。
隣地が土地の寄付を受けることで使い勝手が良くなると判断できる場合などは、受け取ってもらえないかどうか積極的に打診してみましょう。
しかし、個人に対する土地の寄付は、相手に税金の課税義務を発生させることになります。
したがって、寄付するのであればその点についても納得してもらわなければいけません。
③売却
不要な市街化調整区域の土地は、“売却”によって処分することも考えましょう。
ただ、そのままの状態で市街化調整区域の土地が売れるほど、不動産売却は甘くありません。
したがって、さまざまな工夫を凝らして、売却に成功しやすい状況を作る必要があります。
例えば、売り出し価格を安く設定したり、隣地の持ち主に売却を持ちかけたりといった工夫は、基本中の基本です。
また、不要な市街化調整区域の土地を相続してしまったという方は、“空き家バンク”への登録を検討してみましょう。
空き家バンクとは、地方公共団体が住民から空き家の登録を募り、空き家の利用を希望する方に物件情報を提供する制度をいいます。
これに登録すれば、より多くの方に土地の情報を見てもらうことができるため、売却できる可能性はアップするでしょう。
④買い取り
寄付や売却もなかなかうまくいかないという場合は、“買い取り”という選択肢も検討しましょう。
これは、売却と近い処分方法なのですが、一般の買い手を探して売却するわけではなく、買い取り業者に土地を手渡し、対価として買い取り代金を得るという方法をいいます。
もちろん、買い取り業者のすべてが市街化調整区域の土地に対応しているわけではないため、買い取りをしてもらうのであれば、市街化調整区域に強い業者を探さなければいけません。
ただ、市街化調整区域に強い買い取り業者は、意外と多いです。
特に、市街化調整区域の土地だけでなく、再建築不可物件やボロ家、崖地や接道難ありの物件等にも対応してくれる買い取り業者は、とても頼りになる存在ですね。
ちなみに、買い取り代金は通常の売却代金よりも低くなることが多いですが、とにかくすぐに処分したいのであれば、利用してみる価値は十分にあります。
まとめ
不要な市街化調整区域の土地は、簡単に処分できるものではありませんが、処分の方法は意外と多いです。
したがって、1つずつ処分の方法を試していけば、いずれは手放すことができる可能性が高いです。
もっとも、不要な市街化調整区域の土地を処分し、なおかつ売却益などの利益も手に入れたいという場合、難易度はかなり高いものになるでしょう。