不動産売却時にチェックしたい“表示規約”について
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不動産を売却する際、売主はさまざまなルールを遵守しなければいけません。
そのルールの1つに、“表示規約”が挙げられます。
これは、正確には売主が仲介を依頼する不動産会社が守るべきルールですが、その内容については、売主の方も知っておくことをおすすめします。
具体的に解説しましょう。
表示規約の概要
公正な不動産広告のために、不動産業界が自主的に定めたルールのことを“表示規約”といいます。
正式には、“不動産の表示に関する公正競争規約”と呼ばれるもので、公正取引委員会の認定を受けた上で定められています。
また、当制度を構成する項目としては、主に以下が挙げられます。
・広告表示の開始時期の制限
・必要な表示事項
・特定事項等の明示義務
・表示基準
・特定用語等の使用基準
・不当表示の禁止
・表示内容の変更等の公示 など
冒頭で触れたように、これらのルールを守るのは、正確には売主ではなく不動産売買を仲介する不動産会社です。
ただ、不動産会社が表示規約違反を犯してしまうと、その物件の信頼性がなくなり、買い手が付かなくなる可能性もあります。
つまり、不動産会社が正しい広告活動を行っているかどうかについては、売主もチェックしておいた方が良いということです。
各項目の詳細
では、表示規約を構成する各項目の詳細を見ていきましょう。
広告表示の開始時期の制限
表示規約では、広告表示を開始する時期についてのルールが定められています。
具体的には、宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前においては、宅建業法に規定する許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地、建物の内容、取引条件などに関する広告表示をしてはいけないというルールです。
必要な表示事項
不動産会社は、物件の広告表示をする際、物件の種別ごとに、主に以下の事項について記載しなければいけません。
・広告主に関する事項
・物件の所在地、規模、形質などに関する事項
・物件の価格、その他の取引条件に関する事項
・物件の交通、その他の利便および環境に関する事項 など
ちなみに、これらの事項は、表示規約で定めるところにより、見やすい場所に見やすい大きさ、見やすい色彩の文字で、わかりやすく明瞭に表示する必要があります。
簡単にいえば、誰もがわかるように表示しなければいけないということです。
特定事項等の明示義務
不動産売買を仲介する不動産会社は、一般的に予測することができない物件の地勢や形質、立地、環境等に関する事項または相手方に著しく不利な取引条件について、誰もがわかるように広告に表示しなければいけません。
例えば、再建築不可であることを表示していない不動産広告は、このルールに違反していることになります。
表示基準
不動産会社は、物件の広告を出す際、以下の事項を表示規則の定めるところにより表示する必要があります。
・取引態様
・物件所在地
・交通の利便性
・各種施設までの距離または所要時間
・団地の規模
・面積
・物件の形質
・写真、絵図
・設備、施設等
・生活関連施設
・価格、賃料
特定用語等の使用基準
不動産会社が表示する不動産広告で、特定の用語を用いる際は、定義に即して使用しなければいけません。
主な例は以下の通りです。
・新築:建築後1年未満で、誰も居住したことがない物件
・ダイニングキッチン:台所と食堂の機能が1室に併存している部屋で、住宅においては居室数に応じ、その用途に従って使用するために必要な広さ、形状、機能を有するもの
・宅地の造成工事の完了:宅地上に建物をただちに建築することができる状態に至ったこと(都市計画法等による工事の完了の検査を受けることが必要とされるときは、その検査に合格したこと)
・建物の建築工事の完了:建物をその用途に従い、ただちに使用することができる状態に至ったこと など
また、根拠となる事実がない場合、不動産広告で以下の言葉を使用することはできません。
・完全
・完璧
・日本一
・日本初
・業界一
・当社だけ
・最高級
・格安
・破格
・激安 など
不当表示の禁止
不動産広告で禁止されている不当表示には、主に以下の種類があります。
・不当な二重価格表示
・不当な比較広告
・おとり広告 など
ちなみに、おとり広告とは、実際には存在しない、あるいは取引の対象となり得ない、または取引する意思がない物件の広告をいいます。
表示内容の変更等の公示
不動産会社は、継続して表示する不動産広告において、内容の変更があった場合、速やかに修正し、その表示を取りやめなければいけません。
また、取り扱う物件の取引を延期、中止した場合には、速やかにその旨を公示する必要があります。
まとめ
ここまで、売主の方が不動産売却時にチェックしたい表示規約について細かく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
売主がこれらをすべて把握するのは難しいですが、あらかた禁止事項等を理解しておけば、不動産広告を見て不自然な点があることに気づけるかもしれません。
もちろん、それで自身の売り出す不動産の価値を下げたり、買い手が付かなくなったりするのを防げる可能性もあります。
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