TOPコラム“抵当権”が付いている不動産は売却できるのか?

“抵当権”が付いている不動産は売却できるのか?

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再建築不可物件を含む制限・条件付きの不動産は、特殊な手続きなどが必要なため、基本的にはスムーズに売却できないことが多いです。
では、“抵当権”が付いている不動産は、果たして売却できるのでしょうか?
ここからは、抵当権の概要と合わせて解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

抵当権の概要

住宅ローン等を借り入れる際に、購入する物件の土地と建物に対して設定される権利を“抵当権”といいます。
具体的には、住宅ローンの債権者にあたる金融機関が設定するもので、債務者がローンを返済できない場合にはこの権利が行使され、土地と建物が担保として競売にかけられます。
ちなみに、住宅ローンには抵当権が設定されない“無担保ローン”というものも存在しますが、大半の商品は抵当権付きのものが占めています。

抵当権が付いている不動産は売却できる?

結論からいうと、抵当権が付いている物件であっても、そのまま売却することは可能です。
“抵当権付きの不動産の売却を禁止する”という法律はありません。
しかし、抵当権付きの物件が売れるかどうかはまた別の話です。
基本的に、抵当権が付いたままの不動産を購入したいと考える買主は存在しません。
特に、売主がローン残債を滞納しているような場合、売買を成立させるのは困難でしょう。
これは、住宅ローンの滞納が半年間も続けば抵当権が行使され、競売の手続きに入るからです。
つまり、このような抵当権付きの不動産を購入した買主は、すでに購入した不動産が強制的に売却され、所有権を失うリスクを抱えているということです。
どれほど魅力的な物件であっても、さすがにここまでリスクが高い物件は買い手が見つからないことが多いため、売主は基本的に、“抵当権は抹消してから売却すべき”と考えておきましょう。

住宅ローン完済済の物件でも“抵当権抹消登記”は必要

不動産の売主の中には、“住宅ローンを完済すれば抵当権は抹消される”と考えている方がいますが、実際は異なります。
住宅ローンを滞納している場合に抵当権が残ったままになるのは当然ですが、これは住宅ローンを完済した後も同じです。
整理すると、住宅ローンを完済した上で、抵当権抹消登記を行い、不動産を売却するというのが正しい流れになります。
売主自身で抵当権抹消登記を行う場合の流れは以下の通りです。

金融機関から書類が送付される

住宅ローンをすべて返済すると、通常は金融機関から書類が送付されます。
また、その中には抵当権抹消登記に使用する以下の書類が同封されています。

・抵当権解除証書(放棄証書)
・委任状
・登記済権利証または登記識別情報通知

これらの書類を紛失してしまった場合、基本的に再発行はできず、煩雑な手続きを行わなければいけないため、注意しましょう。

不動産情報を取得する

次に、抵当権を抹消する物件に関する情報を取得します。
これは、法務局に足を運び、“登記事項証明書”を取得することを指しています。
ちなみに、登記事項証明書の取得には、建物の家屋番号、土地の地番を把握しておく必要があります。

住民票もしくは戸籍を取得する

もし、抵当権付き不動産の登記上の住所、氏名が当初とは異なっている場合、抵当権抹消登記よりも先に“所有権登記名義人表示変更登記”をしなければいけません。
また、この登記申請には、住民票や戸籍を役所で取得する必要があります。

登記申請書を作成する

次に、登記申請書を作成します。
申請書に記載する項目は主に以下の通りであるため、登記情報を確認しながら正しい情報を記載しましょう。

・登記の目的
・原因(日付は通常住宅ローンを完済した日)
・抹消すべき登記
・権利者
・義務者
・添付書類
・送付先
・登録免許税の金額(不動産の数×1,000円)
・不動産の表示(土地の不動産番号、所在、地番、地目、地積、建物の不動産番号、所在、家屋番号、種類、構造、床面積) など

法務局に申請する

登記申請書が完成したら、法務局に申請します。
この場合は、窓口で直接申請するか、郵送で申請するかを選ぶことができます。
ちなみに、登記申請の内容に不備があった場合は、法務局から補正の連絡が入りますが、これがなければ、法務局で確認した完了日以降に登録完了証を受け取り、手続きは完了します。

抵当権抹消登記は司法書士に依頼しても良い

抵当権抹消登記は、売主自身が必ずしも行う必要はありません。
司法書士に依頼すれば手間も省けますし、書類の不備によって二度手間になる心配もありません。
また、依頼にはもちろん費用がかかりますが、金額は10,000~20,000円程度であり、負担を軽減させられることを考えると、それほど高額ではありません。

まとめ

ここまで、抵当権が付いている不動産の売却を中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
現在住宅ローンを借り入れている方は、滞納するとなかなか売却できなくなること、ローン完済後、自動的に抵当権が抹消されるわけではないことを覚えておきましょう。
また、抵当権抹消登記を自身で行うのが不安な場合は、登記のプロである司法書士の地方を借りましょう。
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